微細な部品のはんだ付けは印刷されるはんだ量が少ない分、使用フラックスも僅かな為に大半がプリヒート段階で劣化してしまいます。
同時に、はんだ粒子も酸化が進み、はんだの溶融不足や未溶融が起こります。
耐熱性の高いフラックスや、フラックス量を増やして対応する方法もありますが、それでも飛散やボイド及び芋はんだの恐れが増えます。
酸化銅板での濡れ性実験
4~5回程度リフローで流し酸化させた銅板でも、プリヒートでフラックスを劣化させなければ濡れ性は確保できています。
フラックスの劣化は、主にプリヒート段階の上部ヒータの熱風の影響を強く受け、劣化します。
とくに大型のエアーリフローではこの傾向が強く、単にはんだを溶かした状態になりやすく、フラックス効果が失われます。
はんだの濡れ性が問題になった場合の対処方法でよく言われるのがプリヒートを長くし、十分な予備加熱をするよう指示、提案されていますがこれは逆効果となります。
重要なのは温度プロファイルの波形ではありません。室温からはんだの融点までが余熱(プリヒート)になります。
プリヒート段階でフラックスを劣化させなければ濡れ性は確保出来ます。基板の熱容量により、プリヒート部の長さは変わりますが、リフロー部は基本的には同じになります。
※フローでは基板の浸漬は250度で5秒以下で濡れ上がります。リフローでも、はんだが完全に溶融した状態が5秒持続すれば良いです。
※温度プロファイルの波形は高温はんだやボンド等で固定されたセンサーが捉えた温度で実際のはんだ温度ではありません。
フラックスの気化熱や溶融時の潜熱も表示されていません。
単に温度プロファイルの時間や温度を管理するのではなく、フィレット部の観察も合わせて良否判定基準を作成する必要があります。
大型のエアーリフロー炉では、ファンの回転数を可能な限り低速にして熱風を抑える必要があります。エアーリフロー炉のエアーを抑えるのは装置特性に逆行していますが単に、はんだを溶かす装置では微細なはんだ付けには不向きでフラックスを劣化させずはんだを溶かす必要があります。
はんだメーカーは耐熱性の高いフラックスで対応していますがそれでは溶剤が気化せず残渣がボイドの原因になります。
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