耐熱性の高いフラックス残渣
ファンの回転数を落とす場合は前もってメーカーに確認しなければ故障につながる恐れがありますので注意してください。
ファン回転数を落とし、且つフラックスの劣化を抑える為にコンベア速度を上げるか上部の余分なヒーターを切るかしてコンパクトな温度プロファイルにします。
実際の市場トラブルでも、部品の陰や高密度に大小の部品が搭載されている基板では濡れ不足、ボイド、イモはんだ状態が発生しています。
ただこれらは微細なはんだフィレットの為に、検査で見落とされている場合があります。
微細ランドのはんだ付け
フラックスは印刷されたはんだの約1/2の体積量になります。
プリヒートを長く(熱量を多く)するとフラックスは劣化しその効果が失われ、濡れ不足やボイド等接合品質を落とします。
ウエアラブル機器
溶けたはんだの上に、部品が付着状態で乗っています。
フラックスの劣化ではんだの流動性がなく、広がり不足です。
部品下のはんだが厚いのは濡れ性の劣化により、溶けたはんだの上に部品が付着状態でついている可能性があります。
温度プロファイルとフィレット状態を合わせて観察判断する必要があります。
上記チップ部品の濡れあがりは良好ですが、これは単にはんだ量が多いことによるものです。
フィレット光沢がないのは過剰な熱で冷却速度が遅れていることを示しています。
コネクター
はんだ量が多いにもかかわらずフィレット先端部が未溶融、フィレット全体が溶融不足状態です。
フラックスが劣化するとはんだの粒子が酸化し、不完全な溶融状態になり、ボイドが発生し外観からは確認できません。
この状態でも引っ張り強度はかなりありますので、すぐに故障するわけではありません。
ただし電気が流れ発熱すると強度劣化を引き起こし故障につながります。
フィレット表面は完全溶融状態ですが、フィレット内部は流動性不足によるボイドが多発します。
長い温度プロファイル(大きな熱量)で、はんだを溶かしてもフラックスが劣化すると十分な合金層ができず接合不良を引き起こします。
コネクター等はピン数が多いので、引っ張り強度はそこそこあります。
評価し難いので1ピンずつ剥がし強度を確認してください。
濡れ性の改善事例
プリヒートでのフラックス劣化を抑える事で、はんだの濡れあがりが改善し、部品はランド側に吸着されボイドも改善されている。
良好な濡れ性を得る事ができれば、部品リードはランド側に吸着され部品下のはんだは薄くなり、接合強度は強くなります。
温度プロファイルの改善
フラックスを劣化させずに、はんだを溶かす事で濡れ性が改善している。
はんだの未溶融は、部品が大きい為の熱不足によると判断される事が多いのですが、基板のパターンからの放熱現象によるもので、下部ヒータを上げて熱の移動を抑えることで完全に溶けています。
はんだは単に溶かすのみでは濡れ性は得られません。
プリヒートをカットした事例
プリヒートでフラックスを劣化させると、トップ温度を高くしてもはんだの溶融は不完全になります。
適切なプリヒートであればトップ温度は230度前後でも十分はんだは溶融します。
熱風の影響
同じ基板上でもスリットや基板の縁と中央部では熱風による影響が異なります。
部品の配置によっては検査ポイントも考慮する必要があります。
熱不足ではありません。
はんだ量の多いランドのはんだは完全に溶けていますが部品リードの小さなランドのはんだは未溶融です。原因はプリヒートの過熱。
0402チップ
0402チップのような微細な部品でもフラックスが劣化する前にはんだを溶かすことができればセルフアライメントを得ることができます。
こちらに掲載しております技術情報は当社の依頼により実装アドバイザーの河合一男氏が書かれた内容です。
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