防湿剤乾燥の自動化を検討される前に必ずお読みください。

 

HumiSealなど防湿剤の自然乾燥を自動化する目的で搬送タイプの乾燥炉に切り替える現場が急増しています。これまで何時間もかけて自然乾燥していた防湿剤の乾燥時間を、場合によっては数分で指触乾燥できてしまうのですから乾燥工程の自動化で得られるメリットは非常に大きなものと言えるでしょう。また臭気対策をする上でも乾燥炉のダクトから臭気を吸引することができるので現場における環境改善としても貢献可能です。

 

このように一見すると「良いこと」ばかりに思える乾燥工程の自動化ですが、実際には上記のメリットを上回るほど大きな問題点があるということに気が付かないまま乾燥炉を導入されてしまうお客様も少なくありません。なぜこれだけ大きな問題点を多くのお客様が気づかずに乾燥炉を導入してしまうのか、その原因と問題解決の方法を今からご説明していきます。

 

乾燥させるだけなら安価な乾燥炉で大丈夫です。

 

当社(アントム株式会社)は加熱炉の専門メーカーとして48年間、これまで多くのお客様から求められる多種多様な加熱用途と向き合い、ノウハウと実績を培ってきました。だからこそ「熱を利用することの難しさ」を本当に理解しています。それこそ乾燥用途のように「ただ乾燥させるだけ」という目的であっても、その目的を高い完成度で達成することは決して簡単なことではないのです。

 

しかしこの「ただ乾燥させるだけ」というシンプルな目的こそが、お客様を問題意識から遠ざけてしまう要因となってしまい、防湿剤の乾燥が簡単なものだという間違った認識を刷り込んでしまいます。

 

たとえば防湿剤を自然乾燥している現場に乾燥炉の導入を検討される場合、現状が自然乾燥であるためほとんどコストがかかっていません。そこに新規で乾燥炉を導入するためのコストはお客様にとって高いハードルになるでしょう。その結果、少しでもコストを抑えるために安価な乾燥炉を導入するという選択をされてしまうのです。

 

当社の廉価タイプ乾燥炉を使用して乾燥の実験を行いました。

 

当社では以前より一部のお客様から安価な乾燥炉を提供してほしいというご要望をいただいておりました。そしてお客様のご要望にお応えすべく廉価タイプ乾燥炉の販売を開始に踏み切ったのです。(2023年10月発売開始)

 

安価な簡易的乾燥炉EPS-250左の写真は当社にて販売している廉価タイプ乾燥炉で定価200万円という徹底的にコストを抑えたモデルになります。

結論から申し上げると「防湿剤を乾燥させる」だけであれば安価な乾燥炉でも目的は達成できるでしょう。また防湿剤特有の臭気も乾燥炉に設置されている排気ダクトから吸引すれば環境改善も可能です。それだけの目的を達成できれば十分だという考えのお客様には安価な乾燥炉で問題ありません。

 

ではいったい何が問題なのか?その問題点をご理解いただくため、実際に当社で上記の廉価タイプ乾燥炉を使用して防湿剤の乾燥実験をした結果を記載いたします。

 

乾燥後に多くの気泡が発生してしまう

乾燥後に多くの気泡が発生してしまう

左の写真は防湿剤塗布後の基板を廉価タイプ乾燥炉にて乾燥させたものです。目視レベルでも確認できるほど多くの気泡が発生していることが分かると思います。

当社の廉価タイプ乾燥炉はゾーン数が少ない(3ゾーン構成)のため、急速乾燥させるためには各ゾーンの設定温度を高くする必要があります。それにより防湿剤が急加熱されてしまい発泡してしまうと考えます。

 

トランスなど大きな部品の下や隙間の防湿剤が乾燥していない

トランスの下が乾燥していない

基板に塗布した防湿剤の上にトランスを載せて廉価タイプ乾燥炉で乾燥させた後、トランスの下を確認したところ防湿剤が未乾燥のままでした。それこそ基板を傾けると防湿剤が垂れるくらいほとんど乾燥していません。(※左写真)

また同様に部品の隙間に入り込んだ防湿剤にも熱が届いていないため未乾燥となっている個所が確認されています。

 

乾燥後の品質まで意識した場合には熱のかけ方が重要になります。
限られた条件の乾燥(特定配合の防湿剤)や臭気対策だけであれば廉価タイプの乾燥炉でも能力は足りますが、上記の実験結果で挙がったような問題を解決するためには相応のゾーン数と徹底した温度管理は絶対に欠かすことができません。

 

ただ乾燥させるだけでなく圧倒的高品質な乾燥を実現させることができる乾燥炉、それがELNASです。

 

ELNASは高品質な乾燥はもちろん、現場の環境改善・省人化・省エネにも貢献いたします。

当社が2022年12月より発売を開始した高性能急速乾燥炉のELNAS(エルナス)は発売開始直後からお客様の抱える乾燥工程の問題を解決し続けてきました。そして簡易乾燥炉(1〜3ゾーン)では絶対に実現できない高品質な乾燥をお客様にご提供することで信頼を積み重ね、これまでに多くの台数を販売させていただいております。

 

たとえば先ほど挙げた廉価タイプ乾燥炉における問題点もELNASを使用して乾燥すれば下記のような結果になるのです。

 

乾燥後に発生する気泡を抑制することができる

防湿剤乾燥後の気泡がないELNASは加熱5ゾーン構成なので各ゾーンにて徹底した温度管理が可能です。そのため搬送速度を落とすことなく徐々に温度を上げることで急加熱を防ぎ、気泡の発生を防ぎます。さらに独自の加熱方式(弱熱風+遠赤外線の併用加熱)により防湿剤の波打ちや表面膜の発生を抑えることが可能です。※熱風だけの乾燥炉の場合、防湿剤の表面膜の発生により内部の気泡が抜けにくくなり、さらに気泡が膨張してしまうケースもあります。

 

トランスなど大きな部品の下や隙間もしっかり乾燥させることができる

防湿剤乾燥後の未乾燥がないELNASの最大の特長である遠赤外線加熱は内部まで熱が浸透しやすいため、トランスのような大きな部品の下に溜まっている防湿剤や隙間の防湿剤もしっかり乾燥させることが可能です。防湿剤を塗布した基板の上にトランスを載せた状態でELNASを使用して乾燥し、乾燥後に基板を傾けても防湿剤はしっかり乾燥しているので垂れるようなことはありませんでした。※熱風だけの乾燥炉の場合、大きな部品に熱風を遮断されてしまい足元まで熱風が行き届かないことが原因で未乾燥になってしまいます。

 

いかがでしたでしょうか?
乾燥工程において熱のかけ方と温度管理がいかに重要であるかということがお分かりいただけたはずです。

 

徹底した温度管理により乾燥品質を大幅向上

 

ELNASの強みチェックボックス 塗布剤が波打たないように熱風量を抑えつつ、遠赤外線を併用することで加熱能力を低下させずに乾燥

 

ELNASの強みチェックボックス 内部まで熱が浸透しやすいため大きい部品の下や隙間も問題なく乾燥できる

 

ELNASの強みチェックボックス 5ゾーンあるため速い搬送でも徐々に温度を上げることができるので急加熱による気泡の発生を抑えることが可能

 

ELNASは高品質の乾燥に必要な温度管理を可能にする高性能急速乾燥炉です。

 

ELNASはこれまでに多くの防湿剤を乾燥させた実績があります。これもまた特定の防湿剤だけしか乾燥できない簡易乾燥炉とELNASの大きな違いと言えるでしょう。

 

ここでは実際にELNASを使用していくつかの防湿剤を乾燥させた実験動画をご用意いたしましたのでご覧ください。今回の実験で使用する防湿剤はHumiSeal(ヒュミシール)、エレップコート、ハヤコートの3種類となります。

 

ヒュミシール・エレップコート・ハヤコートの乾燥状態検証

 

下記画面中央の再生ボタンをクリックすると動画が再生されます。

(※この動画に音声はありません)

 

HumiSeal(1B51NSLU / 2:1配合 / 粘度70mPa・s)を基板の一部に塗布した状態で乾燥炉(ELNAS)に投入することで乾燥状態を検証した動画になります。乾燥の検証なので分かりやすくするため、かなり多めにHumiSealを塗布しています。

 

 

エレップコートの原液(LSS-520MHB / 粘度400mPa・s)を基板の一部分に塗布した状態で乾燥炉(ELNAS)に投入することで乾燥状態を検証した動画になります。かなり粘度の高いエレップコートの原液を多めに塗布しているので厳しい条件下での乾燥検証です。

 

 

ハヤコート(スプレー式)を基板全体に塗布した状態で乾燥炉(ELNAS)に投入することで乾燥状態を検証した動画になります。スプレー式なので塗布後の基板表面に泡立ちが目立ちます。

 

 

上記で紹介したトランス下の乾燥状態について検証した動画です。なぜELNASの5ゾーン加熱が必要なのか動画を見ればお分かりいただけるはずです。

 

 

ELNASは乾燥だけでなく防湿剤特有の臭気対策として排気ダクトによる吸煙にも対応しています。実際にどれくらい吸煙するのか検証した動画をご覧ください。

 

 

参考までに下記の写真は当社の簡易乾燥炉にHumiSealを塗布した状態の基板を投入した際、温度設定を高めに設定してしまったことで気泡が発生してしまったものになります。簡易乾燥炉の場合にはゾーン数が少ないことで温度管理がしにくいため、このような気泡発生の原因に繋がるリスクも忘れないでください。

 

気泡が発生したイメージ

 

 

ELNASの大特長

 

圧倒的な小型

全長2m以下を中心とした業界最小クラスの搬送型加熱

微風+遠赤外線の併用加熱

微風により溶剤への悪影響を抑えつつ、遠赤外線を併用することで加熱能力を確保

様々な防湿剤を急速乾燥

あらゆる種類の防湿剤を最短1分で乾燥させることができる搬送式の急速乾燥炉

上下100mmのクリアランス

ワーク上下のクリアランスを100mmずつ確保しているので背の高い部品も容易に搬送

ダクト排気による臭気軽減で現場環境を改善

シンナー等の有機溶剤が揮発した際に発生する臭気を出入口の排気ダクトにより吸引

消費電力を抑えたエコモデル

安定時電力2kW/hというエコモデルなので大幅な消費電力の削減に貢献

 

ELNASは防湿剤の乾燥に特化した乾燥のスペシャリストです。

 

防湿剤の乾燥に最適なELNAS-460イメージ画像ELNASは溶剤の乾燥用途だけに特化しており、大きな特長として搬送部高さ(部品有効高さ)が上下ともに100mmのクリアランスを確保しております。そのため背の高い部品が搭載された基板に溶剤を塗布した状態でも、そのまま乾燥炉に投入することが可能です。

 

また乾燥に必要な時間も溶剤によって異なりますので、短時間乾燥から一定時間をかける乾燥まで幅広く対応できるよう、搬送速度を0.5〜2.0m/minまでの調整幅を持たせております。これにより短時間での乾燥や生産タクトなどの問題も解消されます。

 

あらゆるワークやキャリアの形状に対応した搬送方式

搬送イメージ基板に塗布された防湿剤の乾燥であればA面とB面を順番に乾燥させる必要があるため、搬送面が部品に接触しないピンチェーン搬送が一般的です。ただし、ワークをキャリアに載せて搬送する場合や特殊形状のワークにはメッシュ搬送が有効な搬送方式となります。またフィルム基板や微細ワークの場合には目の細かいメッシュや耐熱性のあるフッ素樹脂メッシュでの搬送も可能です。

 

ELNASの標準仕様について

ELNASにはMサイズ基板(250mm幅)対応のELNAS-250、Lサイズ基板(460mm幅)対応のELNAS-460という二種類の機種をご用意しております。お客様のワークサイズに最適な機種をご選定ください。

 

ELNAS-250 本体イメージ

ELNAS-250本体画像

 

ELNAS-250 寸法外観図

ELNAS-250外観寸法図

 

ELNAS-250 基本仕様

ゾーン数 加熱5ゾーン
加熱方式 上部熱風+遠赤外線加熱
最大設定温度 上部200℃
基板有効幅 50〜250mm
搬送方式 ピンチェーン搬送
搬送速度 0.5〜2.0m/min
部品有効高さ 上面100mm / 下面100mm
対応言語 日・英
パスライン 900±20mm
入力電源 AC200V 3φ 8kVA 23A
装置寸法 L1,890×D850×H1,350mm
装置重量 340kg

ELNAS-250 オプション

下部ヒーター(遠赤外線加熱方式)
過昇温防止装置
基板落下センサー
メモリーカード(100種保存対応)※標準は10種のみ
循環ファン停止検出
インターフェース各種対応
フードインターロック
UPS(無停電電源装置)
非常停止ボタン位置変更
リフローチェッカー(プロファイル測定ユニット)
搬送コンベヤ各種
塗装色変更

 

ELNAS-460 本体イメージ

ELNAS-460本体イメージ

 

ELNAS-460 寸法外観図

ELNAS-460外観寸法図

 

ELNAS-460 基本仕様

ゾーン数 加熱5ゾーン
加熱方式 上部熱風+遠赤外線加熱
最大設定温度 上部200℃
基板有効幅 50〜460mm
搬送方式 ピンチェーン搬送
搬送速度 0.5〜2.0m/min
部品有効高さ 上面100mm / 下面100mm
対応言語 日・英
パスライン 900±20mm
入力電源 AC200V 3φ 11kVA 32A
装置寸法 L2,000×D960×H1,400mm
装置重量 400kg

ELNAS-460 オプション

下部ヒーター(遠赤外線加熱方式)
過昇温防止装置
メモリーカード(100種保存対応)※標準は10種のみ
循環ファン停止検出
インターフェース各種対応
フードインターロック
UPS(無停電電源装置)
非常停止ボタン位置変更
リフローチェッカー(プロファイル測定ユニット)
搬送コンベヤ各種
塗装色変更

 

 

圧倒的乾燥を実現させる高性能急速乾燥炉ELNASにご興味がある方は、

下記のバナーよりお気軽にお問い合わせください。

 

 

アントム株式会社は加熱設備の専門メーカーとして創業から48年間の歴史があります。

アントム株式会社の社屋イメージアントム株式会社は小型加熱炉の専門メーカーとして日本国内だけでなく海外を含め、これまでに5,000台以上の加熱設備を販売してきました。(2023年12月現在)

半導体や電子部品、医療業界など近年ではクリーンルーム環境下での設備使用や省スペース、省エネを求めるお客様のニーズが一層に高まりつつあり、当社が主力製品としている小型加熱炉の用途はこれまで以上に広がっております。
また、2022年より販売開始した高性能急速乾燥炉のELNAS(エルナス)は、異例とも言える勢いで多くのお客様から反響をいただいている状況です。
当社では加熱設備に関するカスタマイズ対応はもちろん、周辺機器(各種コンベヤ、温度測定機器等)の提案にも力を入れており、小型加熱炉の専門メーカーとして培ってきたノウハウと経験を活かして小回りの効いた対応でお客様からのご要望にお応えいたします。

 

会社概要
商号 アントム株式会社
商標 ANTOM
設立 1976年8月1日
工場・事業所 神奈川県横浜市都筑区川向町893番地1
TEL 045-476-3461
FAX 045-476-3475
資本金 10,000,000円
従業員数 20名
取引銀行 城南信用金庫 仲町台支店

横浜銀行 本店
商工組合中央金庫 横浜西口支店

代表取締役社長 岡本 むつみ
主な生産・販売品目 小型リフロー炉・窒素(N2)リフロー炉

硬化炉・乾燥炉・アニール炉・加熱炉カスタマイズ全般
リフローチェッカー・各種コンベヤ・実装サポート治具
実験ルームのレンタル・販売製品の保守サポート

 

デモ(実験)の来社やプロファイル測定はいつでもお待ちしております。

アントム株式会社のデモルームイメージELNASの実機を使用したデモをご希望の場合、当社にご来社いただくか、製品(ワーク)を当社まで送付していただき、指定条件での温度プロファイルを測定いたします。

また、ご来社が難しい場合には、リモート(WEB環境)で接続した状態でのデモ・評価実施も対応可能ですのでお気軽にご相談ください。

 

【場所】
アントム株式会社(神奈川県横浜市都筑区川向町893番地1)

電車・バスでお越しの場合 東急東横線大倉山駅

横浜市営バス(ららぽーと横浜行・川向町行・中山駅北口行)
折本町バス停で下車(バス約20分・徒歩5分)

横浜市営地下鉄ブルーライン新羽駅

横浜市営バス(ららぽーと横浜行・川向町行・中山駅北口行)
折本町バス停で下車(バス約10分・徒歩5分)

タクシーでお越しの場合 JR横浜線新横浜駅

タクシーで約15分(IKEA港北方面)

車お越しの場合 第三京浜道路 港北インターチェンジ出口より約3分 横浜北西線 首都高横浜港北出口インターチェンジ出口より約3分

 

 

圧倒的乾燥を実現させる高性能急速乾燥炉ELNASにご興味がある方は、

下記のバナーよりお気軽にお問い合わせください。